続・繊細な素仕上げの鹿革のお話 ~鹿革製品をお求めになる方への新しい提案~

皆様こんにちは、鞄工房山本の晴之です。いつもブログをご覧いただきありがとうございます。

しつこいようですが、鞄工房山本の革製品 Web サイトオープン予定の 1/28(月)まで、あと4日です。
最近の鞄工房山本は毎日バタバタ、いよいよ準備も大詰めです。一ヶ月前がクリスマスイブだったなんて信じられないぐらい時間が経つことの早いこと。28日に革製品の良いスタートが切れるよう、とりあえずあと少しがんばります。楽しみにお待ちください。

前回、私晴之のブログでは素材である「鹿革」とこだわりの「素仕上げ」についてお話をしました。大切なことなので長くなってしまい、2回に分けて記事を書くことに。ということで、前回記事をまだご覧でない方はお読みになってから、この続きをお読みください。

それでは、「3. 鹿革製品をお求めになる方への新しい提案」をお送りします。準備はよろしいでしょうか? では、どうぞ!

藤岡勇吉本店と鞄工房山本

その前に、当店の革製品を語るのに欠かせない存在である「藤岡勇吉本店」を紹介しなければいけません。
藤岡勇吉本店は、奈良県宇陀市にある、創業から135年の鹿革タンナーです(タンナーとは革のメーカーのことです)。国内鹿革シェアの約9割を占めており、海外進出もしています。また、鹿革の鞣し業だけでなく鹿革小物の製作、販売も行っています。

当店の鹿革製品はすべて藤岡勇吉本店から仕入れた革でつくっています。だからすべてのアイテムにダブルネームの刻印を捺しています。

name stamp

そして驚いたことに、藤岡勇吉本店の社長である藤岡繁壽氏と、鞄工房山本の社長である山本一彦は高校時代の同級生。以前、偶然再会したときに共に仕事をすることを約束してそれが実を結んだわけです。もはや運命ですね。

当店のこだわりである豊富なカラーバリエーションは藤岡勇吉本店に別注で染めてもらいました。中でもパステルカラーの色味を革に出すことは非常に難しく、大変苦労されたそうです。そうした協力のおかげで、華やかなアイテムたちを揃えることができました。本当にありがとうございます。

今日は簡単な紹介だけにさせていただきます、ただ、今回の提案は藤岡勇吉本店なくしては叶わないものだったのです。

鹿革製品をお求めになる方への新しい提案、「防汚移染処理」

本題です。前回のブログで触れたように、当店は素仕上げの鹿革にこだわりました。その格別な手触りを味わっていただきたいからです。ですが、素仕上げの鹿革は一般的な皮革と比べるとやや汚れやすい上、皮革用クリーム等によるメンテナンスも推奨できません。
顔料仕上げはその逆で、汚れにくくクリーム等でのメンテナンスもできますが、鹿革の風合いを少し損なってしまいます。
どちらをとるか迷った挙げ句、我々は素仕上げの方を選びました。

「んー……言いたいことはわかるけど、汚れるのはやっぱり嫌!」
そんなお客様に朗報です。藤岡氏に相談したところ、一つの解決策を提示してくださいました。それが今回の提案、「防汚移染処理」です。

「防汚移染処理」をできあがった製品に行うと、汚れにくくなり、色移り・色落ちもしにくくなります。色味が少し濃くなることがありますが、顔料仕上げほど鹿革本来の風合いを損ないません。

下の写真、左側が防汚移染処理を施したもの、右側が処理していないものです。

natural protected card case sky blue

光の当て方によっては少し光沢が増したようにも見えますが、ほとんど違いありません。

防汚効果の検証

では、その効果を検証してみましょう。
防汚移染処理された名刺入れに水滴を垂らしてみました。

water drop protected card case sky blue

本来なら乾いた布で水滴を拭き取って陰干しにするのですが、検証なのであえて放置。すると、1分後にはこうなりました!

dry protected card case sky blue

水滴がどこに行ったのか全くわかりません。全く何もせずにこの効果、素晴らしい。

防汚移染処理した製品のメンテナンス ―「Wax of the DeerSkin」

さらに、素仕上げのアイテムにはクリーム等でのメンテナンスを推奨できないと言っていましたが、防汚移染処理はそこをもカバーしてくれます。こちらをご覧ください。

wax deer skin

老舗鹿革タンナーの藤岡勇吉本店だからこそ開発できた「Wax of the DeerSkin」!

防汚移染処理を施したものであっても、鹿革はその繊細さゆえ、一般的に販売されているメンテナンスクリーム等はオススメできません。しかし、このワックスは別です。藤岡氏自らがドイツで鹿革について研究を続けるうちに、Wax of the DeerSkin が開発されたのです。

Wax of the DeerSkin の使い方

当店鹿革製品に対しての使い方を説明します。
まず、手ぬぐいなどの柔らかい布にワックスを吹きつけ、馴染ませてください。

そして、ワックスを染み込ませた柔らかい布で、製品をサッと撫でるように繰り返し拭きます。

ワックスを製品に直接吹きつけたり、ゴシゴシと塗り込んだりすることは絶対に避けてください。かえってワックスがシミになってしまう恐れがあります。

このようにワックスを正しく塗布することで、乾拭きではとれない油汚れやキズを除去することができます。ただし、汚れやキズの種類、古さや状態によっては除去できない場合がございます。
また、製品を初めてご使用になる前や、使用されてから定期的に塗っていただくことで防汚効果を高めることも可能です。

ちなみに、化粧品などにも含まれる天然タンパク質の一種である国産「セリシン」を主成分としたこのワックス、実は鹿革だけでなくあらゆる革製品にご使用いただけますので、ぜひお試しください。

「防汚移染処理」と「Wax of the DeerSkin」をお求めになるには

気になるお値段ですが、防汚移染処理は夢こうろ染以外のアイテムに施すことができ、それぞれ1,000円(税別)で承ります。
店頭には防汚移染処理された製品は陳列しておりませんが、スタッフにお尋ねいただければご案内させていただきます。Web サイトでのご注文方法などについては、サイトがオープンしましたらアフターケアのページをご覧ください。

Wax of the DeerSkin は、たっぷり150ml 入っていて2,000円(税別)です。一般的なメンテナンスクリームとさほど変わらず、お求めやすい価格になっています。
こちらも店頭、Web サイトどちらでもお買い求めいただけます。

鹿革素仕上げについて、2回に分けて紹介してまいりました。それぞれご理解いただけましたでしょうか。まだまだ話したいことはあるのですが、さすがに長くなり過ぎてしまうのでこの辺で締めようと思います。
続きは是非店頭にいらした時に。お待ちしております。

鞄工房山本 晴之

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